こんにちは、Steveです。もちろんニックネームで、生粋の日本人です。
私は2011年にJICA(国際協力機構)青年海外協力隊に参加し、キリバス共和国にてPCインストラクターとして活動してきました。
前回は、平凡なサラリーマンだった私が、青年海外協力隊に合格し、派遣前訓練に参加した様子をお話しました。
→【Vol1-3 青年海外協力隊】過酷な派遣前訓練、参加者はどんな人達?
今回は、いよいよキリバス共和国に派遣されて活動をしたときのことをお伝えしたいと思います。また、帰国後の進路などについてもお話しします。
国際NGOに参加して海外ボランティアをしてみたい、青年海外協力隊に興味があるという方はぜひお読みになってみてくださいね。
キリバスって?

Wikipediaより引用
キリバス共和国は、南太平洋の赤道直下に浮かぶ33の島々からなる海洋国家です。おそらくほとんどの日本人は名前を聞いたこともないのではないでしょうか?私も派遣国がキリバスに決まるまで、全く知らない国でした。
キリバスは人口が約10万人で大した産業もないちっぽけな島国ですが、最近あることで注目を浴びています。それは、地球温暖化に伴う海面上昇で国が沈みそうになっているということです。
国が沈むって本当!?と思うかもしれません。でも、キリバス共和国は最高標高が3mほどしかないので、本当に沈みそうなのです。地球温暖化だけが原因とは言い切れませんが、年々島が侵食されていっているのは事実です。
青年海外協力隊がキリバスに派遣される理由
青年海外協力隊は、一般的に開発途上国がより豊かに成長するための技術協力が目的です。まだ貧しいアフリカや東南アジア諸国が主な舞台となり、日本で培われた技術を現地人に伝えることで途上国の技術・経済・生活の向上を目指しているのです。
しかし、キリバス共和国の場合は全く事情が異なります。数十年後に国全体が海面下に沈んでしまう事態に備え、国家丸ごと海外に移住するという計画が進行しているのです。そのため、海外でも仕事ができるスキルを国民に身に着けさせるという目的で青年海外協力隊の派遣が決まったのです。
キリバスの第一印象
私たち青年海外協力隊の6名は、ほとんど知識がないままキリバスに到着しました。まずは空港の様子に衝撃を受けます。週に2回飛んでくる飛行機を楽しみに集まってくる子供たちは、ほとんど裸足。通常空港では持ち物のX線検査を受けますが、キリバスの空港にはX線検査装置がないので荷物を一つずつ開いてチェックします。
とりあえず滞在するホテルにチェックインし、恐る恐る街を散策してみると、道行く人々は笑顔で「マウリ、マウリ」(こんにちは)と挨拶してくれます。そしてシャンプーをしながら道を歩いてくる少女を見て我々が爆笑すると、彼女も爆笑するという場面に遭遇し一気に心が和みました。いろいろ心配していた我々にとって、とてもポジティブな初日となったのでした。
キリバスの高校でPCインストラクター
私の配属先は、キリバスで最高峰といわれている国立高校でした。この高校の生徒たちにパソコンを教えるのが私の任務となります。また、高校にはパソコンルームがあり、日本が寄贈したパソコンやサーバーの管理も毎日の仕事となりました。
青年海外協力隊の活動は、カウンターパートと呼ばれる現地職員と一緒に行います。私のカウンターパートは数学教師で、彼に技術指導するというのも大切な仕事となっています。
世界約200カ国のなかでも最貧国であるキリバスは、パソコンを所有している家庭はほぼありません。高校にきて初めてパソコンに触れる生徒がほとんどなので、電源の入れ方やマウスの動かし方から教える必要があり、英語力が未熟な私はとても苦労しました。
しかし、生徒たちは純粋でとても可愛く、ダンスパーティーや陸上競技会などの学校行事に参加することで私も多くのことを学べ、充実した活動となりました。
青年海外協力隊に求められる語学力
キリバス共和国の母国語はキリバス語ですが、かつてイギリス領だったことから英語も公用語になっています。そして、高校教育は全て英語で行われているので、先生はもちろん生徒も普通に英語が話せます。そして、当然のようにボランティアである自分にも高い英語力が求められるのです。
出発前は、日本人だし英語があまり上手でなくても許されるだろうという甘い考えがありました。しかし、実際に現地で活動していると、なんでお前はちゃんと英語も話せないのにここにいるんだ?という目で見られるのです。
途上国では、さまざまな国の人が支援活動を行っています。アメリカやオーストラリアといった英語ネイティブは当然ですが、台湾や韓国といった非ネイティブのボランティアたちも流暢な英語を話すのです。
活動をしながら徐々に英会話に慣れ、また自宅でも英語の勉強を続けたので上達はしていきましたが、事前の準備がもっと必要だったと痛感したのでした。また、他の隊員の様子を見ていても、やはり語学力がある隊員のほうが充実した活動を行い成果を挙げているなと感じました。
帰国後の進路
ほとんどの青年海外協力隊参加者は、仕事を退職して参加しています。また、新卒で参加する者も多く、現職を休職扱いで参加する者は少数です。そのため、多くの参加者は帰国後に新たな仕事に就くことになります。
もちろん一般企業に就職したり、公務員になったりする人もいるのですが、派遣国での暮らし・仕事を経験するといわゆる”普通の生き方”には戻れなくなるというのが実情のようです。
国際協力の道を突き進む
青年海外協力隊参加者には、帰国後にJICA(独立行政法人国際協力機構)就職枠が存在します。JICAの職員となれば安定した身分で国際協力に携われるので人気です。また、極少数ですが国連への推薦枠も存在します。国連は短期契約が一般的なので厳しい環境ですが、やりがいという意味では国際協力の最高峰といえるでしょう。
さらに、民間の立場から国際協力に携わりたいという人は国際NGOを目指します。インターンから始まり、決して待遇はよくありませんが、機動力と自由度の高さがNGOの魅力です。
ODAコンサルタント
JICAが開発途上国に有償・無償の資金協力をする場合、ODAコンサルタントが仲介するケースが一般的です。協力隊経験者は技術力と語学力、開発途上国での人脈を活かしてODAコンサルタントとして活躍する人も多くみられます。
国内で起業
開発途上国での経験を国内でフィードバックすることも協力隊参加者の大切な役割です。田舎に移住して農業を始めたり、インバウンド向けのゲストハウスやカフェを起業する人も少なくありません。派遣国から特産物や工芸品を輸入して販売するというのも協力隊参加者ならではです。
青年海外協力隊への参加を考えている方へ
青年海外協力隊は、世界を変えたい、自分を変えたいと思っている全ての人におすすめです。開発途上国での暮らしに不安を感じるかもしれませんが、JICAが万全のサポート体制で安全と健康を支えてくれるので心配ありません。
経験者として一番お伝えしたいのは、何よりも参加前に語学力を可能な限り伸ばしておくことです。派遣国によってはフランス語やスペイン語などが主言語の国もあるのですが、何より地球語としての英語が大事です。
語学力があれば現地での仕事も暮らしもスムーズに進行し、満足のゆく活動を行えるようになります。逆に語学力がないとコミュニケーションに支障をきたし、不本意のまま帰国することになってしまいます。
青年海外協力隊への参加を考えているのなら、まずは参加募集説明会に参加し、直接経験者の話を聞いてみましょう。
以上で私の4回の寄稿を終わらせて頂きます。
セブ島留学マナビジンさんを通じて、皆さんが英語を使った仕事で大活躍される事を願っております。
また、機会があれば別の記事でお会いしましょう!